1月下旬にcoincheckにてXEMの不正流出があったこと。皆様の記憶にも新しいのではないでしょうか。
これらの問題により、中央集権型(いわゆる管理者がいる)取引所に自分の保有通貨を預けておきっぱなしにするリスクを感じた人も多かったと思います。
昨年から徐々に頭角を現し始めていた分散型取引所が本件で、見直されたようにも個人的には感じています。
今回の記事では、従来の中央集権型取引所と分散型取引所に関しての比較を行いながら、メリットデメリットを考察してみようと思います。
現在の中央集権型取引所の課題
仮想通貨の投資を行う際に、気になるのがハッキングやクラッキングによる資産の突然の消失です。
日本におけるcoincheck事件のわずか数日以内に、イタリアの取引所でもハッキングによる不正送金がありました。
近日中に起きた数百億円の資産が短時間に流出したことを思い返すと、サイバーセキュリティ事故であるハッキングに対しては、なるべく万全の対策をとりたいのは誰もが思うことだと思います。
個人でもできる対策として、どこの取引所であっても、早いうちに換金してしまうという方法もありますが、取引所の登録の段階から自衛ができる方策はあるでしょうか。
ある種、従来の取引所を利用している以上は、どれだけ厳重にセキュリティを固めていても、被害にあうときはあってしまいます。
本当にハッキングを自衛するためには分散型取引所(DEX)を利用し、取引を行うということが最もよいのかなと個人的には考えています。
最近では分散型取引所も増えてきており、今まではEtherDeltaがメジャーでしたが、現在ではIDEXなどの取引所も出てきました。
また、現在0x , Kyber Network , AirSwapなどの分散型取引所のプロトコルの開発も進んでおり、直近のニュースではKyberNetworkがメインネットローンチが記憶に新しいです。
We are now live on mainnet, and available exclusive for KGT holders! Listing 10 tokens $AELF $BAT $MANA $EOS $GTO $KNC $OMG $POWR $REQ $SNT . Visit us at https://t.co/2eKRRISg85 and learn more about our mainnet launch here https://t.co/h0aurLZSvN pic.twitter.com/aHbhrYEmzL
— Kyber Network (@KyberNetwork) February 11, 2018
分散型取引所と、中央集権型取引所のメリットとデメリットとを比較して、より安全な仮想通貨取引について考察してみます。
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分散型取引所のメリット=中央集権型取引所のデメリット
分散型取引所の最大のメリットでもあり、デメリットでもあるのは管理者がいないことです。
分散型取引所の取引形態は、個人対個人の売買をする場所を提供するといった形で、相対取引が基本です。
また、管理者がいないので、パスワードや個人情報を取引所に送る必要はありません。
現在EthereumのDEXとしてメジャーであるEtherDeltaやIDEXではMetaMaskというウォレットを利用して取引を行います。
従来の中央集権型の取引所とは違い、本人確認手続き、パスワードでログインみたいなことは一切ないので登録も簡単です。
また、上記取引所の取引記録はスマートコントラクトにより、取引履歴が残ります。
中央集権型の取引所は接続されているネットワークが停止する可能性があり、それにより取引を行うことができなくなります。
分散型取引所では、異常が起きている部分だけを停止することで、異常が起きているネットワークと他の部分を切り離して取引を続行することができます。
中央集権型の取引所は、管理者がパスワードを管理し、個人情報を管理することになります。
誰かが管理をしてくれているから、安心とも思えますが、これには反面、ハッキングのリスクがでてきます。
因みに、セキュリティ体制に不備があったとしても、是正が図られるチャンスは少ないです。
BitGlailでは盗まれた分の保障は100%ないとツイートにて言及されています。
NANO on BitGrail have been stolen.
Unfortunately there is no way to give it back to you at 100% (we only got 4 MLN XRN right now).
The devs, as you have guessed, dont want to collaborate
— Francesco The Bomber (@bomberfrancy) February 9, 2018
そういう意味では、先日のcoincheckの不正流出でXEMが580億円分も流出したことの保障は異例とも言えるのではないでしょうか。
今回の流出事件では中央集権取引所の安全性、信頼性に大きな疑問が投げかけられたのではと思います。
分散型取引所のデメリット=中央集権取引所のメリット
さて、上述した分散型取引所を見るとメリットが多そうに感じますが、分散型取引所にも勿論デメリットがあります。
まず、現状では、法定通貨による取引ができないものが殆どです。ETHやBTCとのペアで取引が行われる取引所が殆どです。
このことから、取引所で換金をしたいと思ったら、現状はまだ中央集権型の取引所を利用の必要があります。
(因みに3月に実施予定のNEOベースのICO NEXは将来的に法定通貨との交換も可能になるようです。 参考:NEX NeoExchange公式サイト)
また、DEXは今のところメジャーとはまだいえないので、出来高が少ないです。
そのため、タイムリーな取引ができず、価格操作も容易に可能です。(EtherDeltaで見せ板を作ることなんて簡単w)
操作性も従来の取引所と比べると、まだ使いづらいものも多いです(これは開発段階のものが殆どなため)
そして、何より中央集権型と比較すると、手数料が高いです。
Ethereumとトークンの交換を行う際には自分でGASの設定を行うのですが手数料の設定を低くすると結局取引ができないということもしばしばあります。
そして、何よりも運営母体がないため、パスワードの紛失をしてしまったら、サポートが受けられません。
上記のように分散型取引所のデメリットは数多くあります。このことから、中央集権型取引所もなくならないのではと思っています。
法規制やセキュリティ的な整備がもっと行き届くと、取引の安定性から、中央集権型取引所のほうが魅力的なのではないか、との意見もあります。
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分散型取引所の今後の見通しは?
上記で説明したように、一長一短ある中央集権型取引所と分散型取引所ですが、coincheck流出事件を受けて、
「分散型取引所を技術向上により改善し、取引の安定性を確保する」という動きが世界的に活発化しそうかなと考えています。
そして、より利用しやすい分散型取引所が出てくることに我々ユーザーからも期待が集まっています。
各分散型取引所は、若干の仕様の違いはありますが、取引の本質であるトークンの交換のみをブロックチェーンで実施し、
サイドチェーンまたはオフチェーンで通信を行うことで、セキュリティの堅牢性を保ったまま、取引量の増加・手数料コストの低下を狙おうとしています。
少額の決済を何度か繰り返した場合に、逐一手数料が発生してしまうデメリットを解消する手段として、
少額決済分をサイドチェーン・オフチェーンにより処理し、最終清算後のトークンの交換のみブロックチェーンで行われていく流れになります。
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最後に
上述しているように、セキュリティ対策に関してはDEXは取引所としては中央集権と比べて高いと言えます。
しかし、現状では取引のタイムリーさや使いづらさなどを考えるとまだまだ課題は多いように感じています。
さまざまなプロジェクトが、DEXをいち早く取り入れていこうとしていますが、
我々ユーザーの視点から考えると中央集権型の取引所も換金のためにも必要ですし、結局は管理者がいることに安心感を持つ人が多い以上は、
まだまだ中央集権型の取引所がなくなることはないと思っています。今後はよりハイブリッドに適材適所で使われるのではないでしょうか
何事でもそうですが、使い分けと最新情報の収集がリスク対策として必要なのかなと思います。
因みに分散型取引所の記事はこれから「分散型取引所」の話をしよう – individua1 | Ethereum経済圏研究 でも沢山取り上げられているので読んでみてください